これまで2回にわたって、バーチャルオンリー型株主総会の基本と、導入が進まない理由を解説してきました。最後となる今回は、この制度が今後どうなっていきそうか、現在進んでいる議論を紹介します。
「特別法の特例」から「会社法本体」へ組み込む動きがある
これまで解説してきた通り、バーチャルオンリー型は、会社法とは別の産業競争力強化法という法律の特例によって、例外的に認められている制度です。
この状況を変える可能性がある議論が、2025年4月から法務省の法制審議会(法律の見直しを検討する国の会議)で始まっています。株式の発行、株主総会、企業統治という3つのテーマについて、会社法そのものの見直しが検討されており、その中にバーチャルオンリー型株主総会も含まれています。
検討されている方向性の一つが、産業競争力強化法という特別法の仕組みを参考にしながら、バーチャルオンリー型株主総会に関するルールを、会社法本体の中に組み込むというものです。実現すれば、今のような「特例」ではなく、会社法が正式に認める開催方法という位置づけに変わります。
定款変更が不要になるかどうかが争点に
あわせて議論されているのが、定款(会社のルールを定めた文書)への定めを不要にできないか、という点です。
現在は、上場会社が大臣確認を受けたうえで、定款にもバーチャルオンリー型を実施できる旨の定めを置く必要があります。この定款変更の手間をなくせないか、という意見がある一方で、株主保護の観点から、やはり定款への定めは必要だという意見も出されています。
つまり「遠方の株主の参加障壁を下げたい」という狙いと、「株主の権利をきちんと守りたい」という狙いの、バランスをどう取るかが論点になっている状況です。
今後どうなりそうか
2026年8月現在、この議論はまだ「中間試案」の段階であり、正式に決まったものではありません。今後、パブリックコメント(国民からの意見募集)などを経て、具体的な改正内容が固まっていく見通しです。
もし会社法本体に組み込まれれば、これまでネックとなっていた手続きの煩雑さが軽減される可能性があります。ただし、これまで解説してきた通信障害リスクへの対応など、運用面の課題がすぐになくなるわけではありません。制度が整備されても、実際に安心して開催できる体制づくりには、引き続き時間がかかると考えられます。
まとめ
バーチャルオンリー型株主総会は、まだ発展途上の制度です。導入企業はわずか74社にとどまっていますが、会社法改正の議論が進めば、今後ハードルが下がっていく可能性があります。今後の法改正の動向は、引き続き注視していく必要がありそうです。
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